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4.おやすみのキス

 

 

 にぃくんが夜のあいだずっといてくれる日……。

 むかしは、いつもいつもそうだったけど今はときどきだから……わたし、すごくはしゃいじゃってるんだな、って自分でもわかっちゃう。

 さっき、屋上から戻ってきてからずっとね……にぃくんの手をにぎったままなの。

 

 

 わたしをベッドに移してくれてからお見舞い用のいすに座ったにぃくんの手を持って……。

「うわぁ……にぃくんの手、やっぱり大きい」

 ってくらべっこをしたの。

 にぃくんはくすぐったくなっちゃうくらい優しいお顔をして手を広げたままにしてくれて……。

 それでね……この手がにぃくんの手なんだぁ、髪の毛とか頭をなでてくれるあったかいにぃくんの手なんだぁ……って思ったらね、すごく嬉しくなっちゃって……ぎゅって握っちゃったの。

 もちろん、にぃくんの手のほうがずっと大きいから両手で、それでもはみだしちゃうんだけど。

 そうしたらね、すごくうれしいのに胸がぎゅって苦しくなっちゃって……にぃくんの手、離したくなくなっちゃったの。

 

 

 わたしがにぃくんの手をにぎっているの、ヘンな事じゃないよね?

 もし、ヘンでもにぃくんは嫌じゃないよね?

 

 

 だから、にぃくん……。

 このままでいようよ……。

 

 

 そんな事を考えていると、にぃくんはね……もう片方の手でわたしの髪をくしゃくしゃってしたの。

「いずみの髪ってやっぱりふわふわだな」

 そう言って、にっこり笑ってくれたの。

 わたしがにぃくんの手を好きなくらい、にぃくんもわたしの髪が好きなのかな? って思ったら胸がすっと軽くなって、頭の中がうれしいことだけになっちゃって……。

 そのままでずっとお話してたの。

 

 

 そうしたらね、すぐに消灯の時間になっちゃった。

 

 

 にぃくんは、そろそろ寝ないと、って言ってわたしの手を解こうとしたの。

 もちろん、わたしだってわかってるよ……?

 にぃくんは付き添い用のベッドでそばにいてくれるし、わたしの使ってるベッドじゃ狭くってにぃくんとわたしがいっしょに寝ちゃうことなんてできないこと。

 でもね、でもね……。

 にぃくんの手、離したくなんてないんだもん。

 

 

 ――離したくないもん……。

 

 

「いずみ……」

 にぃくんはね、待っててくれるの……こういう時に怒ったりとか、むりやりのこととかぜったいにしないの。

 だからね……最後にはわたしが離すしかなくなっちゃうの。

 

 

 でもね、わたしはわがままだから……やっぱりにぃくんにこんなことを言うの。

「おやすみなさいのキスしてくれたら、離してあげるよ」

 

 

 目を閉じてね、にぃくんにしてもらうのをまっている時はすごくどきどきするの……。

 わたしからの時より、ずっと、ずっと……。

 

 

 ねぇ、にぃくん……。

 わたしはね、にぃくんにチュ、ってしたくなるときがたくさん、たくさんあるの……

 じゃあ、にぃくんは?

 にぃくんが、わたしに、キスしたくなる時ってあるの?

 それは、どんなの時なの?

 教えて、ほしいな……。

 

 

 だって……ね。

 わたしは、いつだってにぃくんにキスしてもらいたいの……。


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